私が一人目のプリーストを作った時、当時のたまり場に、妙に気の合う姉のような人がいた。その頃私は支援を始めたばかりで、慣れないスキル、慣れない動きに四苦八苦していた。私がどんな失敗をしても周囲は大概許してくれたが、特に彼女は私に親身になってくれた。ぶっきらぼうな口調の割に、とても暖かい人だということがよくわかり、私は彼女を慕っていた。とてもよいたまり場だったと思う。

しかし、そんな中に一人だけ、私に厳しく当たる人がいた。彼はギルマスで、私が支援として独り立ちすることを望むがゆえに、言葉は辛辣で、いつも私は叱られていた。その人の見惚れるような動きにあこがれてプリーストを始めたせいもあり、きつい態度に私は激しく落ち込んでいた。今から考えると、彼が苦言を呈するのは当たり前の状況だったのかもしれない。当時の私がやらかした失敗を思い浮かべるだけで、今でも胃が痛くなるほどだ。
思うに、彼が私に期待していた気持ちは、私の予想以上に大きかったのではないだろうか。けれどその時の私はとても未熟で、その真意までは汲むことが出来なかった。頑張りたいという気持ちがどんどん裏目に出て、私は日々焦り、彼との関係は日増しに悪化していった。
姉のようなその人は、そんな私を心配してくれ、何かにつけ相談に乗ってくれた。いっぱい慰めてくれ、楽しい話をして気持ちを明るくしてくれた。辛いこともあったけれど、とても楽しい日々だった。まだまだ頑張れる、そう思っていた。

そんな風に、昨日まで楽しく話していた彼女が、何の前触れもなく忽然と姿を消してから、既に十数年が過ぎた。当時の支援職の高額装備を数点、私に渡してくれと友人に伝え、それっきりいなくなってしまった。信じられないほどあっさりと。

その装備は私を助けてくれた。スキルも資産も何もない私が、今のメイン職はABですと言っていいほど支援を続けられたのは、きっとその装備と、何より彼女の思いやりのおかげだと思う。
でも、今でも、もう十数年も経った今も、感謝の気持ち以上に、彼女に伝えたい事がある。もはや会うことができない彼女に。
どうして、どうして何も言わないでいなくなったの。装備なんか欲しくなかった。私の欲しいものは装備なんかじゃない、もう会えなくなるのなら、ちゃんと話したかった、ありがとうっていっぱい言いたかった。なんでそれも言わせてくれなかったの。どうして。どうしてなの。


こんなに月日が過ぎても、鮮明にその時の悲しみを思い出す。特にアニバーサリーが近づくと、その記憶が再生されていたたまれない。
ROはこんなに楽しいのに、その分だけたくさんの悲しみが影を落としている。アニバーサリーは私にとって、今までに得たもの以上に、失ったものの大きさを思い知る日でもある。きっと、これからも私は大切なものを失い続ける。予感というよりはむしろ確信と呼ぶべき現実に、私は目が眩んでしまう。ねえお願い、お願いだから、思い出でしか残らない存在にならないでください。私は思い出なんかいらない。思い出なんかにならないで。